※この記事は、以下の料理記事の続編なので、もしよければ事前にお読みください。
~あらすじ~
前回は上の記事にあるように、『坊さんの気絶』を作りました。
しかし何かパンチが足りないと思った僕は、どうにかして味を強化しようと試みます。
果たしてどうすれば良いのか…
『坊さんの気絶』が美味しい理由とは
トマトには旨味成分であるグルタミン酸が豊富に含まれています。
加えて、玉ねぎに含まれる辛み成分の一部(とそれから派生する化合物)は、
グルタミン酸を含む水分中でこく感を示す、という論文もあります。
PeCSO and y-Glu-PeCSO showed a characteristic kokumi flavor (continuity, thickness, and mouthfulness) by a sensory test in an umami solution containing 0.05% (wIv) each of monosodium glutamate and disodium inosinate.
"イソアリイン(PeCSO)、イソアリインのγ-グルタミルペプチド(γ-Glu-PeCSO)は、グルタミン酸ナトリウムとイノシン酸を含有する「うまみ溶液」の官能試験で、特徴的な「こくみ」を呈する"
Ueda Y., Tsubuku T. and Miyajima R. (1994) Composition of sulfur-containing compounds and their fl avor characters. Biosci. Biotech. Biochem., 58, 108-110.
ちなみにニンニクにも同様の成分が含まれています。
これが野菜だけでも結構おいしいポイントのようです。
しかしここで注目するべきは、特徴的なこく味が出た試験の溶液にイノシン酸も含まれることです。
イノシン酸ってなんじゃい
キノコ類のグアニル酸、昆布やトマトなど野菜系のグルタミン酸と並ぶ三大うまみ成分の一つです。
肉や魚に多く含まれます。(詳しくは日本うま味調味料協会HPへ)
そういえば、
私は非ベジタリアンかつ無宗教なので、別に野菜だけで『坊さんの気絶』を作る必要は無いのです。
と、いう事は…
ソースに肉と魚味を足せば旨さが更に出てきそうじゃね?
という仮説が立てられますね!
でもただ足すだけじゃあダメ
そこらのスーパーで売っている合挽肉をただ足すだけだと、煮込む段階で豚や牛の臭みが出ます。
そこで臭み取りをする必要があります。
洋風の料理の臭み取りと言えば…ワインですね。トマトと肉系なので赤ワインがよさそうです。
ワインは有機酸が多く、豚や牛の臭気成分であるアルデヒド類の発生を抑えやすくなります。
ポリフェノールが含まれているとよりコクが出るそうなので更に適していると言えます。
今回、肉を主役にしてあげた方がなすとの相性が良い(脂が多い)ので、魚味はアンチョビで
塩味と一緒に少量足す事にします。ということで、アレンジの方法が定まりました。
『坊さんの気絶』のアレンジ方法
<追加材料>
- 合い挽き肉 ・・・ 150g
- 缶チョビ(缶入りアンチョビ)・・・ 1尾
- 赤ワイン ・・・ 200mL程度(余ってる分でよい)
- コンソメキューブ ・・・ 1個(見えてません)
- プラスして坊さんの気絶の材料(前回の記事参照)
本手順①:最初にオリーブオイルでニンニクとアンチョビを炒めて香りを出す
ニンニクを入れていた所に一緒にアンチョビを入れて香りを出します。
魚とニンニクの香りが立つまでオリーブオイルで軽く炒めたら、次の工程に移ります。
本手順②:合い挽き肉を投入し、焼いている面の色が変わるまで中火で炒める
次に、玉ねぎではなく合い挽き肉を投入します。
煮込むのであまり順番にこだわらなくても良いのですが、やはり肉なので火を通しておきたいのと、
少し表面を焦がして香ばしくしたい狙いもあります。全体として赤くても良いので、
炒めている側の肉の色が変わってきたら次の工程に入ります。
本手順③:赤ワインとコンソメキューブを投入し、数分煮込む
赤ワインとコンソメキューブを投入し、沸騰しすぎないよう弱火で2~3分煮込みます。
この後の工程に関しては、玉ねぎを炒めてトマト缶と共に煮込むところから一緒なので省略します。
出来上がりの色としてはほぼデミグラスソースのような茶色がかった赤色になります。
赤ワインの効果ですね。
実際アレンジしたらうまかったのか?
※出来上がりの写真を取り損ねました。すみません。
さて、こうしてアレンジした『坊さんの気絶』ですが、実際に食べてみました。感想としては
ボリューム感とコクがアップして、よりご飯のおかずとしてうまいものになった!
これ尽きます。主にコンソメと合い挽き肉のおかげで、動物性の旨味がかなり感じられます。
ミートソースを食べるイメージですが、なすの身の味ととろとろした食感が加わり
口の中が油分でまとまるのがこの料理独特の感触で良いです。
逆にこれを食べてからスタンダードな『坊さんの気絶』を食べると、
ちょっとあっさりしすぎるきらいがあるかもですね。
更に、たまに当たるアンチョビ部分が良いアクセントになっています。
もっとアレンジするのであれば、
うまみと食感の楽しさを兼ねて、グアニル酸を含むキノコ類、
例えばシイタケやポルチーニ茸なんかをソースに加えてもいいかも。
余談:トマトソース、余らない?
最初の『坊さんの気絶』でも、今回のものでも、カットトマト缶は1つ分丸々使うのですが、
言っても、なす3つ分に対してはかなり多く余りませんでしたか?
なんせ200g以上あるので。
そんな時は、写真のようにグラタン皿を使ってトマトグラタン風にするのがおすすめです。
生地用にジャガイモ2個を茹でて潰し、余ったトマトソースと溶けるチーズを使い
ジャガイモ→トマトソース→溶けるチーズ→ジャガイモ→トマトソース→溶けるチーズ
の順に重ねて敷き詰め、オーブンで10分ほど焼けば、香ばしいトマトグラタンの完成です。
ボリュームがかなりありますが、溶けるチーズとソースで味が決まるので結構パクパク食べれますよ。
ジャガイモ部分にこっそりクミンを振ってもおいしいかも。
皆さんも、余ったソースの使い道まで含めて、料理を色々試してみてはいかがでしょうか。
それでは、また。
これからの話
(コロナで外国もいけないし、これからは諸国料理を一杯作ろうかな。。。)
コメント