なろう系の元祖、島耕作を許すな!

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雑記

僕は漫画が好きだ。特に好きなのはファンタジーものなのだが、

そこには非日常と、登場人物の強い意志が描かれている事が多いから、

というのが主な理由である。

もちろん、別にギャグマンガや少女漫画だって苦手ってわけではないし、

漫画喫茶で読むジャンルは限定されていない。結構雑食寄り、と言うわけだ。

だが、過去に一作品だけ、気に食わなかったものがある。

いまだに読み直す気はあまりしないその作品の名は、

「課長 島耕作」

である。嫌いな点がいくつかあるので挙げてみよう。

肉体関係の権化 島耕作

課長 島耕作といえば、今はJR東日本の大人の休日倶楽部でポスターになっている。

見たところ、「悠々自適」「爽やかな日本人」の代表として

認知されているキャラクターのように思える。

しかし、その実態は肉体関係の権化と言わざるを得ない。

そもそもコミックス1巻の 26ページ目にして、(流れ上不可抗力だった面もあるが)

さっそく田代という部下と肉体関係を持つ。エロが主題でないのにこれでは先が思いやられる。

更に、デートスナック(昭和の風俗の一種らしい)で働いていた女性とも肉体関係を持つ。

その時島耕作はTBSのプロデューサーと嘘をついてお持ち帰りする・・・

この時点でちょっと引いてしまうのだが、これはまだマシなほうである。

ちなみに後日この女性が会社に面接にやってきて、島耕作は肉体関係がばれるのを恐れ

なんと不採用判定をする、というなんともみみっちい姿も描かれるが、それはまた別の話。

(しかもその女性はきちんと採用される)

さて、既に1巻で2人の女性と関係を持っているわけだが、

これが課長・部長・取締役~~と続いていく中で次第に増えていく。

しかもその相手が曲者ぞろいで、ふつう手を付けるとは考えられないのに寝ちゃうのである。

覚えている限りでは

  • 銀座のクラブのママ(しかも会社の上司の愛人)(しかも関係がある事が上司にばれる)(けどお咎めなし)
  • 自分の勤める会社の超・大株主の娘(部下と付き合ってた)(ド変態)
  • 京都の小料理屋の女将(部下の姉)
  • 新宿ゴールデン街のスナックのママ(後で上司の愛人になる)
  • ラスベガスのカジノのディーラー
  • ニューヨークの広告代理店の社員(もう一人デザイナーの恋人がいる)
  • 大物演歌歌手(自分が担当している歌手)

しかも大体がその場のノリで寝ている。もうちょっと情緒を大事にしろ。

島耕作は相当の会話上手でイケメンと言う設定なのかもしれないが、

それにしたってかなりの荒唐無稽だ。

▲なーにがセレブレーションファックで了解じゃ

島耕作の周りにはこうして美女たちが集まってくるのだが、

そうでない女性も島耕作に好意を抱く描写がある。

出向した際に部下になった高市千鶴なんかがそうなのだが、島耕作は抱かない。

理由は明言されていないがたぶん太っているからである。股間に正直だ。

とにかく美人を抱きまくっている時点でなんとなく許せないのだが、

次にあげる点もまた許せないポイントが加算される。

ご都合主義の権化 島耕作

先ほど挙げた女性たちは島耕作と関係を持つだけでなく、彼の出世に大きく関わる・・・

というより、寝たおかげでチャンスがつかめるという状況が非常に多い。

本当の意味でのラッキースケベだ。代表的なのが

  • 女ディーラーに気に入られてルーレットで勝たせてもらう
  • 水墨画の大家に緞帳の絵を描いてもらうために昔抱いた女を差し出す
  • いいワインの情報を仕入れるためにフランスに行ったがそこで苦戦。しかし昔抱いた女が
    ワイン評論家の恋人で情報ゲット
  • そもそも彼女の母親が会社の大株主の娘なので社内政治が絡んだ時に
    島耕作を無視するわけにいかない
  • アメリカ時代に関係のあった女性がその後出産、大きくなった子供が日本に来て歌手
    として大人気に。島耕作はそのプロデュースをすることで成功を手にする

仕事→女性と寝る→成功する→次の仕事くる→別の女性と寝る→成功する・・・のループだ。

ループものとしては3回目くらいで気づくのがセオリーだが、

結局会長になるまで気づかず。鈍感にもほどがある。

キャラの扱いがエグい 島耕作

上記のエピソードだけでも罪深いが、

僕が一番苦手なのは展開上邪魔なキャラクターを登場させなくするやり口がちょっとエグい、

と言うところである。

例えば上にあげた水墨画の大家のエピソード。

京都の支社に出向中の話なのだが、超イヤイヤながらも島のために抱かれに行った鈴鴨かつ子

という女性といい感じの仲であったにも関わらず、東京の本社に戻るという理由で

あっさり別れてしまう。確かに京都にはなかなか来れないかもしれないが・・・

いいか島耕作よ、かつ子はお前が昇進するために犠牲フライを打ったわけではないのだ。

せめて塁には残してやれ。

また、女性ではないが島耕作が同性愛者に好かれる描写もある。

同期入社の樫村健三だ。彼にまつわるエピソードもひどい。

出世コースに乗る優秀な男で、フィリピン出向時代に仕事を共にする。

元々こいつは島耕作に認められるために入社したとも言っている筋金入りの惚れ込みなのだが、

多分作者が飽きたのか、それとも同性愛者のキャラクター性をハンドリングできなかったのか、

なんとフィリピンのテロリストに銃撃され、そのまま死んでしまう。

非業の死と言うほかない。もっと偲べよ島耕作、墓参りして花くらいは送ってやれ。

ちなみに樫村には妻と子供がいるが、その妻も島耕作に一瞬抱かれようとしていた。

ちょっと罪深すぎるのではないか?

ここまでくると島耕作の腋から変な物質が出ていそうだ。

そして最後は実の娘である。

アメリカ出向時代に島耕作と関係を持ったアイリーンという女性。

その女性が出産して生まれたのがナンシー・アレンという子供で、非常に歌が上手かった。

ナンシーは父親を探そうとするが、アイリーンは誰か教えてくれない。

ただ日本人である事は分かったので、ナンシーは日本で歌手活動を始める。

その時に契約をしたのが島耕作が出向していたレコード会社だ

このレコード会社、サンライトレコードは島耕作が社長に就任してから

リストラを断行せねばならないほど業績が悪くなっていたがこの契約により業績回復。

見事な手柄を持って島耕作はその後本社に戻る事になる。

ナンシーはというと、父親である島耕作は結局名乗り出なかったため、アメリカに帰る事になる。

ここまではまあまあ話としては筋が通っているのだがこの後がひどい。

ナンシーはこの後、島耕作の娘である奈美の事務所に所属しアメリカで歌手活動を続ける。

もちろん奈美とナンシーはお互いが異母姉妹であることは知らない。

そのうち人気が衰えてきたナンシーは荒れた生活をし、事務所からも離れる。

その後、島耕作が昇進してから数年ぶりに再会するのだが、

この翌日、ナンシーの自宅に小型飛行機が突っ込み、ナンシーは死亡する。

いやいやいやちょっとそれは無理やりすぎひん?

そもそも小型飛行機ってそんな町中飛べるんか?

しかもナンシーが島耕作の私生児である事は会社や世間に一切バレず、臨終間際のナンシーに

ようやく伝えられる程度で終わりである。

多分この後の島耕作の出世街道的に私生児がいると作者的にジャマだったのでは、

と邪推せざるを得ない唐突の死に僕は読んだ当時ひどく慄いたものだ。

「なろう」主人公の元祖 島耕作

それにしても、女がすぐ惚れるキャラ造形、様々な場所での経験、女性をすぐ手籠めにし、

都合の悪いキャラクターはひどい扱い、だけど最終的に女性のおかげと仕事へのやる気で

成功していくこの構図というのはどこかで見たことがある。

そう、『小説家になろう』でかつて散見された

「チート」で「ハーレム」な『チーレム』

物に他ならない。

つまり島耕作は元祖(オタク的夢が詰まったタイプの)「なろう」系主人公

と言えるのではないだろうか。

決して大人の休日倶楽部のイメージキャラクターにふさわしいものではなく、

子供じみた願望がそのまま形になった、

単純かつ欲望に正直なただの幸運な人物だと言う事を、

僕は強くアピールしたい。

追伸

ちなみに、本記事は島耕作をこき下ろしているように見せかけて、

島耕作シリーズの販促記事となりますので、ご留意頂けますよう。

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